術後の指示

:

骨移植(ボーングラフト)後

特別な注意事項

ボーングラフトは通常、多くの小さな骨片から成り立っています。そのため、術後数日とその後の治癒過程では、小さな骨の粒子がお口の中にみられる場合があります。これは異常ではなく予測されることですので、ご心配はいりません。骨の粒が取れるのを最小限におさえる方法がいくつかあります。

  • 傷を安静にする、または触らないようにします。
  • 激しくうがいしない、または強くつばを吐き出さないようにし、血ぺい(血の塊)とボーングラフトの定着を促します。
  • 舌や指で創部を圧迫しないようにします。治癒過程の初期段階ではボーングラフトの材料がまだ動くことがあります。
  • 縫合部を見るために唇を上に持ち上げる、引っ張るなどしないでください。創部にダメージを与えたり、縫合がほどけたりすることがあります。
  • タバコは吸わないでください。喫煙はボーングラフトの定着不良につながることが証明されています。

サイナスリフト

ボーングラフト移植術が上顎洞内で行われる場合、次の指示をお守りください。

  • 鼻をかまないでください。次の受診までは、鼻をかみたい場合に、拭う、そっと押さえる、軽くすするなどで対応してください。口や鼻を閉じた状態でくしゃみをしないでください。くしゃみは口を開けたまましてください。
  • 鼻づまりの解消には、Dimetapp®やSudafed®など、市販の充血除去薬を適宜使用してください。
  • 鼻腔·副鼻腔·口腔内の圧を上昇させるようなことはすべて避けてください。たとえば楽器を吹く、風船を吹く、スキューバダイビングなどがそれにあたります。
  • 鼻から血液が混ざった液体や骨片の排出があっても驚く必要はありません。
  • 口や鼻から予測されないようなおかしな空気·液体の排出が認められた場合は、当院までご連絡ください。

出血

ボーングラフト移植後は一定量の出血が予測されます。血がにじむ、血の混ざった唾液が見られるなどは、術後12~24時間中は異常ではありません。創部をガーゼで覆い、1時間ほど噛んで圧迫するように指示されることもあります。その後、ガーゼは除去し廃棄してください。出血の持続や再出血がない限りは、ガーゼ交換は必要ありません。出血が続く場合は、濡れたティーバッグをガーゼと同じ要領で当てて圧迫します。お茶に含まれるタンニン酸が血液凝固を促進します。出血量が減らない場合は、対処方法について当院までお電話ください。

腫れ

腫れは手術に対する生体の正常で健康な反応です。大半の外科的処置後にみられ、程度は通常その処置·手術の規模に比例します。口の周りや頬·目·顔の外側が腫れるのは異常ではありません。多くの場合、手術翌日まで腫れはあまり目立たず、ピークは術後48~72時間に訪れます。腫れや不快感はアイスパックを患部に直接貼用することで最小限におさえることができます。術後24~48時間は、アイスパックを手術部位周辺から顔の外側に向かって貼用します。睡眠中以外は、アイスパックは、30分間当てた後は30分間外してください。術後48時間を経過すると、アイスパックをしても特別な効果は得られません。その時点では逆に、腫れを速く軽減させるには温めることが有効になります。場合によっては、腫れが1週間以上続くことがあります。

痛み

処方された痛み止めは、患部に不快感を感じる前に服用してください。そのタイミングとは通常、局所麻酔が切れてくる頃になります。胃が空っぽの状態で痛み止めを飲むと吐き気が起こることがあるため、食事や飲み物と一緒に内服することが推奨されます。痛みどめを飲むと、ぼんやりしたり、物事に対する反応が鈍くなることがあります。内服中は車の運転や機械の操作等はしないでください。最もよい経過のため、飲酒は避けるようにしてください。アスピリンやアセトアミノフェン(Tylenol®)、またはイブプロフェン(Advil®またはMotrin®)等の市販薬は、適宜使用していただいてかまいません。

抗菌薬

患者さんによって、ボーングラフト移植後の感染予防に抗菌薬が処方されることがあります。抗菌薬を処方された場合は、その錠剤または水薬がなくなるまできちんと飲みきってください。湿疹やその他好ましくない反応が出た場合は使用を中止し、当院まで速やかにご連絡ください。

食事

局所麻酔が完全に切れるまで食事はしないでください。術後数日間は食事の摂取に制限が生じます。術後24時間は、ジュースや牛乳、水などの水分をたっぷり飲むことから始めてください。初日は、柔らかいものや熱くないものをなんでも食べてかまいません。グラフト移植部位の反対側で噛んでください。初日は、熱い液体や食べ物を摂取しないでください。ストローは、出血を増強させるため使用しないでください。硬いものや歯ごたえのあるカリカリしたもの、種が含まれた食べ物も創部を傷つける恐れがあるため避けてください。その後はできるだけ早いうちに固形物を食べ始めて、普段の食事に戻るようにしてください。

口腔の清潔

お口を清潔に保つことは、良好な治癒と感染リスクの低減に不可欠です。当院より抗菌薬入りのマウスウォッシュ(Peridex™)をお渡しすることがあります。手術当日の夜から始め、ラベルに記載の日付まで継続していただきます。塩入りのぬるま湯(グラス1杯のぬるま湯に小さじ1/2杯の塩)でのうがいを手術翌日から開始します。特に食後は重要で、1日に4~5回うがいしてください。うがいをするときは、ボーングラフトに影響が出ないようにやさしく行ってください。歯磨きはできる範囲内で丁寧に行います。創部周囲は避けて磨くことを忘れないように十分注意してください。

縫合部

たいていの場合、ボーングラフト移植部分は縫合されます。使用した縫合糸が溶けるタイプの吸収糸か、抜糸が必要か否かは医師よりお伝えします。吸収糸の場合でも、手術部位の治癒状態を確認するために、術後7~10日のうちに診察にきていただきます。

活動

日常的に運動をしている場合、術後はカロリー摂取量が普段よりも少なくなっていること、体は脱水傾向にあることを覚えておくようにしてください。運動やエクササイズにより体力がさらに低下する可能性があります。術後2~3日は激しい運動は避けるようにしてください。

補綴物の装着

取り外しが可能な歯科用補綴物(部分入れ歯、総入れ歯、フリッパー等)は、特別な指示がない限りボーングラフト手術直後より使用いただけます。補綴物は、組織の炎症の誘発や、ボーングラフトの治癒過程の阻害を回避するため、術中に執刀医(または術後に主治医)による調整が必要になる場合があります。補綴物の装着に関しては、当院の医師とご確認ください。 ご質問や不安な点があれば、当院にお知らせください。